中華人民共和国個人所得税法
文書番号 中華人民共和国主席令第44号
法律の公布 中華人民共和国主席 胡錦濤
公布日付 2005-10-27
中華人民共和国主席令
(第44号)
『「中華人民共和国個人所得税法」の改正についての全国人民代表大会常務委員会の決定』は、既に中華人民共和国第10期全国人民代表大会常務委員会第18回会議にて2005年10月27日に可決されたため、ここに公布し、2006年1月1日から施行する。
中華人民共和国主席 胡錦濤
2005年10月27日
中華人民共和国個人所得税法
(1980年9月10日第5期全国人民代表大会第3回会議で採択、1993年10月31日第8期全国人民代表大会常務委員会第4回会議の『「中華人民共和国個人所得税法」改正についての決定』に基づき第一次改正、1999年8月30日第9期全国人民代表大会常務委員会第11回会議の『「中華人民共和国個人所得税法」改正についての決定』に基づき第二次改正、2005年10月27日第10期全国人民代表大会常務委員会第18回会議の『「中華人民共和国個人所得税法」改正についての決定』に基づき第3回改正)
第1条 中国国内に住所を有するかまたは住所を有せず国内に満一年居住する個人が中国国内及び海外で得た所得については、本法の定めに基づき個人所得税を納付するものとする。
中国国内に住所を有せずかつ居住していない、または住所を有せず国内での居住が一年未満の個人が中国国内で得た所得については、本法の定めに基づき個人所得税を納付するものとする。
第2条 次に掲げる個人所得については、個人所得税を納付しなければならない。
1.賃金、給与による所得;
2.個人事業主の生産・経営による所得;
3.企業や公的機関からの請負経営・賃借経営による所得;
4.労務報酬による所得;
5.原稿料による所得;
6.ライセンス料による所得;
7.利息・配当・割増配当による所得;
8.財産賃貸による所得;
9.財産譲渡による所得;
10.一時所得;
11.国務院財政機関が徴税する旨を定めたその他の所得。
第3条 個人所得税の税率は、次の各号に定めるとおりとする。
1.賃金・給与による所得については、超過累進税率を適用し、税率は5%から45%とする(税率表は後掲)。
2.個人事業主の生産・経営による所得及び企業や公的機関からの請負経営・賃借経営による所得は、5%から35%の超過累進税率を適用する(税率表は後掲)。
3.原稿料による所得は、比例税率を適用し、税率は20%とし、かつ納税すべき額に基づいて30%軽減して徴収する。
4.労務報酬による所得は、比例税率を適用し、税率は20%とする。労務報酬による所得で一回の収入が著しく高い場合は、割増徴収を行うことができ、具体的な方法は、国務院が規定する。
5.ライセンス料による所得、利息・配当・割増配当による所得、財産賃貸による所得、財産譲渡による所得、一時所得及びその他の所得については、比例税率を適用し、税率は20%とする。
第4条 次に掲げる各種の個人所得については、個人所得税を免除する。
1.省クラスの人民政府、国務院の部、委員会と中国人民解放軍の軍レベル以上の機関・組織及び外国組織・国際組織が授与する科学・教育・技術・文化・衛生・スポーツ・環境保護などの分野における奨励金;
2.国債と国が発行する金融債券の利息;
3.国の共通規定に基づいて支給される補助金・手当;
4.福祉費・見舞金・救済金;
5.保険の賠償金;
6.軍人の除隊手当・退役手当;
7.国の共通規定に基づいて幹部、職員に支給する転勤引越手当、退職金、退職年金、離職後給与、離職後生活補助金;
8.我が国の関連する法律の規定に従って免税とされている各国の駐在大使館、領事館の外交代表・領事及びその他の人員の所得;
9.中国政府が加入している国際条約、締結している議定書の中に免税と定められている所得;
10.国務院財政機関が免税と承認した所得。
第5条 次に状況のいずれかに該当する場合は、承認により個人所得税を減額して徴収することができる。
1.身体障害者、身寄りのない老人、殉職者家族の所得;
2.重大な自然災害により多大な損失となったとき;
3.その他の国務院財政機関が税額を軽減すると承認した所得。
第6条 課税所得額の計算は次のとおりとする。
1.賃金・給与による所得は、毎月の収入から、費用として1600元を差し引いた後の残額を、課税所得額とする。
2.個人事業主の生産・経営による所得は、税年度ごとに、その収入総額から、原価・費用及び損失を控除した後の残額を、課税所得額とする。
3.企業や公的機関からの請負経営・賃借経営による所得は、税年度ごとに、その収入総額から、必要費用を控除した後の残額を、課税所得額とする。
4.労務報酬による所得、原稿料による所得、ライセンス料による所得、財産賃貸による所得は、その都度の収入が4000元を超えないときは、費用としての800元を控除する。また、4000元を上回るときは、20%の費用を控除し、その残額を課税所得額とする。
5.財産の譲渡による所得は、財産譲渡の収入額から財産の原価と合理的な費用を控除した後の残額を、課税所得額とする。
6.利息・配当・割増配当による所得、一時所得及びその他の所得については、その都度の収入額を課税所得額とする。
個人がその所得を教育事業及びその他の公益事業に対して寄付した部分は、国務院の関係する規定に従って、課税所得額から控除する。
中国国内に住所を有せず、中国国内で賃金・給与による所得を得ている納税義務者並びに中国国内に住所を有し、中国国外で賃金・給与による所得を得ている納税義務者は、その平均収入水準・生活水準及び為替交換率の変動状況に基づいて、追加控除費用を確定することができるものとし、なお、追加控除費用の適用範囲と基準は、国務院が定める。
第7条 納税義務者が中国国外において得た所得については、その課税所得額の中より既に国外において納付した個人所得税の税額を控除することができる。但し、控除額は、その納税義務者が国外所得について、本法の規定に従って計算した要納税額を超えてはならない。
第8条 個人所得税については、所得者を納税義務者とし、所得を支給する組織若しくは個人を源泉徴収義務者とする。個人所得が、国務院が定めた額を超える者、二箇所以上から賃金・給与による所得を得る者、または源泉徴収義務者がない者について、並びに国務院が定めた他の状況に該当した場合、納税義務者が国の規定に従って、納税申告をしなければならない。納税徴収義務者は、国の規定に基づき、全員に対し全額について源泉徴収し、申告しなければならない。
第9条 源泉徴収義務者が毎月控除する税額、自己申告納税者が毎月納税すべき税額はいずれも翌月7日までに国庫に納付し、税務機関へ納税申告書を提出しなければならない。
賃金・給与所得についての納税すべき税額は、月ごとに計算・徴収し、源泉徴収義務者若しくは納税義務者が翌月7日までに国庫に納付し、かつ税務機関へ納税申告書を提出する。特定業種の賃金・給与所得についての納税すべき税額は、年度ごとに計算し、月ごとに分けて予納する方式で計算納付することができるものとし、その具体的方法は、国務院が定める。
個人事業主の生産・経営による所得についての納税すべき額は、年度ごとに計算し、月ごとに分けて予納する。納税義務者がそれを翌月7日までに予納し、年度終了後3月以内に精算し、税務機関から過払い額の返還と不足額の徴収を行ってもらう。
企業や公的機関からの請負経営・賃借経営による所得についての納税すべき額は、年度ごとに計算し、納税義務者が年度終了後30日以内に国庫に納付し、税務機関へ納税申告書を提出する。納税義務者が一年度内において数回に亘って企業や公的機関からの請負経営・賃借経営による所得が生ずるときは、その都度の所得取得後7日以内に予納し、年度終了後3月以内に精算し、税務機関から過払い額の返還と不足額の徴収を行ってもらう。
中国国外で所得を得る納税義務者は、年度終了後30日以内に、納税すべき額を国庫に納付し、税務機関へ納税申告書を提出しなければならない。
第10条 各種所得の計算については、人民元を計算単位とする。所得が外国通貨であるときは、国家外国為替管理機関が規定する外国為替相場に基づいて人民元に換算し、税金を納付する。
第11条 源泉徴収義務者に対して、源泉徴収税額の2%を手続料として支給する。
第12条 貯蓄預金利息についての個人所得税の徴収開始時期及び徴収方法は、国務院が定める。
第13条 個人所得税の徴収管理は、『中華人民共和国租税徴収管理法』の規定に従って執行する。
第14条 国務院はこの法律を基に実施条例を制定する。
第15条 本法は、公布の日から施行する。
個人所得税税率表1(賃金・給与による所得に適用)
級 全月の課税所得額 税率(%)
1 500元を超えない部分 5
2 500元を超えて2000元までの部分 10
3 2000元を超えて5000元までの部分 15
4 5000元を超えて20000元までの部分 20
5 20000元を超えて上40000元までの部分 25
6 40000元を超えて60000元までの部分 30
7 60000元を超えて80000元までの部分 35
8 80000元を超えて100000元までの部分 40
9 100000元を超える部分 55
(注:この表の全月の課税所得額とは、本法第6条の規定に従って、毎月の収入より費用としての1600元を控除した後の残額若しくは追加控除費用を控除した後の残額とする。)
個人所得税税率表2(個人事業主の生産・経営による所得および企業や公的機関からの請負経営・賃借経営による所得に適用)
級 全年の課税所得額 税率(%)
1 5000元を超えない部分 5
2 5000元を超えて10000元までの部分 10
3 10000元を超えて30000元までの部分 20
4 30000元を超えて50000元までの部分 30
5 50000元を超える部分 35
(注:この表の全年の課税所得額とは、本法第6条の規定に従って、税年度の収入総額より、原価、費用及び損失を控除した後の残額とする。)
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