中国語      英語      日本語
  > 会社ニュース
  > 業界ニュース
    - アパレル業界
    - 輸出入貿易
  > ホットニュース
  > こぼれ話
    - 穴場情報
    - 衣食住
    - 伝統的な祭日
    - 中国の世界遺産
    - 日本人と中国人との習慣の違い
  > 中国の法律法規など
 
 
 
ホーム > ニュース > こぼれ話
第37回 チョコレートを贈って「愛」を伝える~バレンタインデー日中の違い~
发布者:ge  日期:2009-12-09  点击:584

中国では「情人節」として、日本でも「バレンタインデー」として、2月14日にいろいろなプレゼントがやりとりされていますが、日中でいろいろ異なるところもあります。

1. 贈る人は誰か

日本では女性が男性にチョコレートを贈って愛を告白することになっています(少なくともごく最近までは男性が贈ることはなかった)。日本では、冗談半分に子供(早ければ小学生)の間でもプレゼントをしています。バレンタインの風習が日本で初めて提唱されたのは、1932年、あるお菓子会社によると言われています。しかし、私が小学校の頃(1960年代後半)もバレンタインデーについて全く聞いたことはありませんでした。1970年代以降から、プレゼントをするのがはやりだしたと思います。日本では、本当の恋人に贈るチョコを「本命チョコ」と呼びます(中国語で「真心巧克力」とよぶと聞きました)。恋人でなくても、女性が職場の男性に贈ることもありますが、これは義理で贈るので「義理チョコ」といいます(中国語で「人情巧克力」とよぶと聞きました。恋人の「情人」をひっくりかえして「人情」という名前をつけたのは面白いですね)。女性どおしで贈る場合もあり、それは「友チョコ」と呼ばれます。本年は、成人女性の73%がチョコレートを贈るつもりがあるという調査結果もあります(調査会社マクロミルがインターネットで調査した結果)。自分が食べるために買う場合もあります。

但し、近年は、日本でも男性が女性に贈ることも提唱されており、これは「逆チョコ」と呼ばれるそうです。私は今年初めてこの「逆チョコ」という表現を知りました。これはお菓子業界が「女性だけでなく男性の需要も掘り起こそうと力を入れている」ことが背景にあるそうです。「『逆チョコ』を盛り上げようと(某社はチョコレートの)パッケージのデザインを鏡に映したように反転させて表示した限定品を今年初めて発売した」(1月16日付朝日新聞記事『チョコ商戦 狙うは男』)。成人男性の16%が「逆チョコ」を贈るつもりがあるという調査結果もあります(調査会社マクロミルがインターネットで調査した結果)。別の調査では、男性に「女性にチョコレートをあげても良いか」と尋ねたところ、72%が「あげてもよい」と答えたほか、「女性から『チョコレートがほしいな』と言われたらどうするか」との問いには、90%が「あげる」と答えたそうです。贈る時の気持ちについては、「感謝」が61%、「友情」が40%、「愛情」が24%、「シャレ」が26%だったそうです。贈られる側の女性の反応についても調査したところ98%が「もらえたら嬉しい」と答え、贈ってくれた男性の印象については「気が利いている」が66%、「すてきだ」が44%だったそうです(日本のお菓子メーカーの調査。2月13日付読売新聞)。

渋谷のあるデパートでは、紳士服売場に「メンズショコラスタンド」というのができました。これは男性がゆっくりおいしいチョコレートを選ぶための場所だそうです。

これに対して中国では通常男性が女性にプレゼントを贈ると聞いています。

上海サーチナ(サーチナ総合研究所)が昨年11月に、北京、上海、広州で各150人、合計450人の男性に、バレンタインデーに女性に贈り物をするかについてアンケート調査したところでは、以下の結果がでました。

また同様に、北京、上海、広州で各150人、合計450人の女性に、バレンタインデーに贈り物を男性から貰うかについてアンケート調査したところでは、以下の結果がでました。

以上は、北京、上海、広州という都市部での調査なので、農村部ではこれほどバレンタインデーの習慣が広まっているかどうか分かりません。少なくとも都市部では、急速にバレンタインデーの習慣が広まっているようです。

欧米では男女がプレゼントを贈り合うそうです。

日本だけが、女性から男性に贈ることになっていました。日本ではそのため、男性が女性にお菓子をプレゼントをしてお返しをする「ホワイトデー」という日が、3月14日に設けられています。これも日本で始まった独特の日だそうです。

バレンタイデーもホワイトデーも、お菓子業界が販売促進目的で盛り上げている側面はあります。

なぜ、日本ではバレンタインデーが、女性から男性に愛を告白する日になったのでしょうか?それはよくわかりませんが、ふだん、女性が男性に愛を告白することがしにくい雰囲気があるということで、お菓子業界がそのように宣伝を始めたことが背景にあるかもしれません(あくまでも私の推測です)。

2. 贈られる物は何か?

日本では圧倒的にチョコレートです。チョコレートを贈るようになったのは、英国が最初だそうです。1868年に英国の老舗のチョコレート・メーカーがバレンタインデー用のチョコレートを発売したそうです(2月13日付読売新聞)。日本では、チョコレートを買って贈るだけではなく、チョコレートの原料を買ってきて、家でそれを加工・手作りし、特別の箱に入れてプレゼントすることもはやっています。本屋ではそのようにチョコレートをどう手作りするかという本も沢山売っています(写真)。また作り方を紹介するウェブサイトもあります。

チョコレートが恋に良いという説があるそうで、内田麻里香・東京大学工学部特任教員が面白いエッセーを新聞に掲載していたので、以下の通り紹介します。

「チョコレートには、フェネチルアミンという物質が含まれているが、これは『恋愛化学物質』という別名がある。恋愛中の人間の脳内で増加するらしい。しかし、この説はいまだ議論が分かれるところ。数年前には『女性への媚薬効果がある』という論文まで発表された」(2月10日付東京新聞)。

変わったチョコレートもこの時期売り出されているそうです(焼酎入り、海苔入り、醤油入り、漢方食材入り)。

日本の女性がチョコレートを購入するのに平均でいくら予算を使うかという調査では、本当の恋人に贈る場合3325円、知り合いに義理で贈る場合1172円、自分が楽しむ為に買う場合3167円だそうです(プランタン銀座というデパートが292人の女性に対して行った調査)(1月28日付読売新聞)。

日本ではチョコレート以外に、手作りのクッキーなどもプレゼント品目になっています。

日本ではお花を贈るのは少ないように思いますが、中国では、まずはバラの花が重要だと見受けられます。2月14日にはバラの値段が高騰し、夜になると安くなると聞きました。上記のサーチナの調査で、プレゼントをすると答えた男性に対して、何をプレゼントするかを質問したところ、以下の回答がありました(複数回答可)。

欧米ではプレゼントされるものは、お菓子、お花、カードなどいろいろだそうです。

3. 2月14日の夜の過ごしかた

この日の夜は、中国では夫婦どおし、恋人どおしで一緒に夕食を食べて過ごす人が多いと聞きました。上記の調査結果を見ても、「サービス(レストラン、旅行等)」が約5割と高い割合を占めています。そのためか、2月14日の夜には、北京では仕事の関係のレセプションなど少なかったように思います。日本でも恋人どおしで過ごす人はいるでしょうが、平日であれば夜のレセプションなどの仕事もいろいろ入りますので、中国ほど配慮されていないかもしれません。中国の友人からは、冗談半分でしょうが、「もし2月14日の夕食を妻と一緒に過ごさないと、妻は夫が外で愛人と会っていると誤解し、疑うかもしれない」と言われたことがあります。また「中国では、2月14日に、仕事の夕食会を設定するのは、やめた方が良い」とも言われました。(中国の夫人は、夫が夜遅く家に帰ってこないと携帯電話に連絡をして「あなた、今どこにいるの?」とたずねたり、夫が帰宅してから喧嘩になると聞きました。比較で言えば、日本の夫人は、夫が夜遅くまで帰らないことには寛容であり、携帯電話に連絡をすることも殆どないと思います。)

4.チョコレートを食べてアフリカを支援する

日本はチョコレートの原材料であるカカオ豆を輸入に依存していますが、その7割はアフリカのガーナ産ということです。

発展途上国での児童労働問題に取り組んでいる日本のNGOの「ACE」は、「しあわせのチョコレート」(500円)というチョコレートを販売しているそうです。この売り上げの半分をガーナの子供の支援に充てるそうです。現地では多くの貧しい農家の子供が学校に行けずに働いており、児童労働撤廃に向けた啓発や学校改修、文房具支給が必要ということです。(2月13日付毎日新聞)

中国もガーナとは最近経済関係が急速に拡大されていると聞いています。中国もガーナからカカオ豆も輸入していますか?ガーナで働いている小松原茂樹氏((国連開発計画(UNDP)ガーナ常駐副代表)が、「ガーナの庶民生活で存在感増す中国」というブログを書いています。小松原氏は、ガーナにおいて、中国が、①ガーナの一番重要なメイン・サッカー競技場の大改装(ガーナはワールドカップにも出場するなどサッカーが強く、人気もあります)、②中核都市で競技場建設、③幹線道路の整備・大規模拡幅工事、④ガーナ国防省庁舎の建設、⑤電力供給源強化のためのブイダム建設、等でODA供与(多額の融資を含む)、中国建設企業の受注など、中国の存在感がガーナで著増していると述べています。同時に小松原氏は、ガーナで活動する中国の関係者達と意見交換した結果として、「(ガーナの)地元コミュニティーへの貢献や、受入国における人材育成への貢献などについて考慮する必要性は中国関係者も感じているようである。最近、ガーナを訪問した中国企業関係者と懇談する機会があったが、企業の社会的貢献や企業と開発との関係について非常に強い関心を持っていた。」と書いています。大変興味深い報告ですので、中国の目覚ましい対外進出がアフリカでどう受け止められているか、そして中国の関係者がどのような問題意識を持たないといけないかということについてご関心のある方は是非ご覧下さい。

5.結論

以上から、第一に、日本では過去30年間位に、中国でも近年(過去10年と聞きました)急速にバレンタインデーの習慣が広がっていることが言えます。

第二に、同じ西洋の習慣でも、日本と中国とでは異なる仕方で受容されたということが言えます。それは、日中の社会(男女の関係など)や、ビジネス習慣の違いも反映したものでしょう。日本の方が、チョコレートを広い範囲に配る傾向があると言えます。

(中国人の男性に注意したいのは、日本人の女性からチョコレートを貰ってもびっくりしないでください。中国人の女性に注意したいのは、日本人の男性からチョコレートを貰ったら、それは今年あたりから流行だした「逆チョコ」かもしれません。いずれにしても、それは日本人の彼/彼女が貴方を真剣に愛しているから、ということではないかもしれず、感謝、友情、おみやげ程度の意味しか無い場合もありますので、誤解しないようにしてください。また中国に駐在している日本人ビジネスマンの方に注意したいのは、2月14日夜には、仕事の夕食はいれないで、中国人の男性がまっすぐ家に帰れるようにしてあげましょう。)

第三に、日本で「逆チョコ」が提案されるなど、習慣は常に変化していることも指摘できます。

第四に、恋人だけではなく、バレンタインデーをきっかけにして、世界の恵まれない人にも愛を届けることも提唱されています。これもとてもすばらしいことだと思います。

 (井出敬二 前在中国日本大使館広報文化センター所長)

  コメントはこちらへ

「チャイナネット」2009年2月15日

 
[返回] [打印]
 

著作権は 盛融国際
 
リンク:http://www.sunroys.com http://sunroy.en.alibaba.com http://sunroy2012.cn.alibaba.com